「シンガポールでは人々の思いやりが失われつつあるのではないか」――。そんな問いかけがインターネット掲示板「Reddit」で話題となり、多くの市民が日常生活で経験した親切や助け合いについて意見を交わした。物価上昇や忙しい生活が続く中でも、「思いやりは今も社会の中に息づいている」とする声が数多く寄せられ、善意の在り方について改めて考える機会となっている。
議論の発端は、「以前より人々が他人に無関心になったように感じる」という投稿であった。高齢者への席の譲り合いや、困っている人への手助けなどが以前より少なくなったのではないかとの疑問に対し、多くの利用者はこれに異論を唱えた。「親切は目立たないだけで、実際には身近な場所で数多く見られる」との意見が相次いだ。
具体例として、大雨の日に見知らぬ人へ傘を差しかけた人や、所持金が足りない児童を無料で乗車させたバス運転手、公共交通機関で飲み物をこぼした乗客を周囲が協力して片付けた事例などが紹介された。また、日本在住経験のある投稿者からは、「シンガポールでは高齢者や妊婦に席を譲る人が多く、困っている人への対応も決して冷たくない」と評価する声も寄せられた。
一方で、「親切にしたいと思っても、相手に迷惑と思われるのではないかとためらうことがある」との意見も見られた。シンガポールでは控えめな国民性から、善意が表面化しにくい面もあるとの指摘があり、「思いやりが減ったのではなく、表現の仕方が慎重になっているだけではないか」との見方も示されている。
議論の最後には、「社会がどうであれ、自分自身が思いやりを示す存在になればよい」というコメントが多くの共感を集めた。都市化や生活環境の変化が進むシンガポールにおいても、小さな親切の積み重ねが地域社会を支えていることを改めて認識させる議論となった。
「シンガポールで思いやりは薄れているのか」 ネット上で議論、身近な善意を再評価
