シンガポールのシンガポール国立大学(NUS)の研究チームは、平手打ちや尻たたきなどの体罰を受けた子どもは、失敗を隠したり周囲から認められたりするために、うそをついたり不正行為に及んだりする傾向が高まる可能性があるとの研究結果を発表した。研究では、体罰は子どもの問題行動を抑制するよりも、心理面や行動面に悪影響を及ぼす恐れがあると指摘している。
研究では、シンガポールの子どもと保護者を対象に、しつけ方法と子どもの行動との関係を分析した。その結果、体罰を受ける頻度が高い子どもほど、失敗を隠すためにうそをついたり、周囲から評価されたいという思いから不正行為をしたりする傾向が強く見られた。研究チームは、体罰によって子どもが「失敗すると罰せられる」という恐怖を抱き、正直に失敗を認めるよりも隠そうとする心理が働く可能性があると分析している。
また、体罰は親子間の信頼関係を損なうだけでなく、子どもの自己肯定感や感情コントロール能力の発達にも影響を与える可能性があるという。研究では、望ましい行動を褒めて伸ばす「ポジティブ・ディシプリン(肯定的なしつけ)」や、子どもとの対話を重視した指導方法の方が、長期的には健全な人格形成につながるとしている。
近年、世界保健機関(WHO)などの国際機関も、家庭や学校での体罰廃止を推奨しており、シンガポールでも子育てや教育の在り方に関する議論が活発化している。今回の研究は、体罰の影響をシンガポールの実情に基づいて示したものとして注目されており、保護者や教育関係者に対し、子どもの成長を支えるより適切なしつけ方法を考える契機となりそうである。
NUS研究、体罰は子どもの「うそ」や「不正行為」を助長する可能性
