2026年7月10日
飲酒運転規制を大幅強化へ 初犯でも実刑対象に
シンガポール政府は、飲酒運転の抑止と交通事故防止を目的に、飲酒運転の基準値を大幅に引き下げるとともに、悪質な違反者への罰則を強化する法改正案を国会に提出した。改正案が成立すれば、飲酒運転の法定アルコール基準は現行の半分以下となり、極めて高いアルコール濃度で運転した初犯者にも禁錮刑(実刑)が科される可能性がある。
改正案では、呼気中アルコール濃度の基準値を現行の100ミリリットル当たり35マイクログラムから15マイクログラムへ、血中アルコール濃度は100ミリリットル当たり80ミリグラムから30ミリグラムへ引き下げる。政府は「酒を飲んだ後に運転することは偶然ではなく、自らの判断による行為である」とし、より厳格な基準によって飲酒運転そのものを防止する考えである。
さらに、極めて高いアルコール濃度で摘発された場合には、初犯であっても裁判所に対して禁錮刑を求める方針を示した。現行制度では初犯は罰金刑となるケースも少なくないが、重大事故につながる危険性を踏まえ、より厳しい処分を科すことで抑止効果を高める狙いがある。
今回の法改正は、近年増加傾向にある交通事故や危険運転への対応策の一環であり、飲酒運転以外にも運転中の携帯電話保持の禁止や、危険運転・無謀運転に対する罰則強化なども盛り込まれている。政府は、交通安全に対する社会全体の意識向上と、死亡事故の減少を目指すとしている。
シンガポールでは公共交通機関や配車サービスが充実しており、飲酒後に運転する必要性は低い。今回の法改正は、「飲んだら運転しない」という原則をより明確に打ち出すものであり、市民や旅行者を含むすべてのドライバーに対し、飲酒運転を一切容認しない姿勢を示すものとなる。施行後は、ドライバーにこれまで以上の慎重な判断が求められることになりそうである。

