2026年7月10日
東南アジアで煙害リスク高まる シンガポールなど4ヵ国に「最高警戒」
シンガポール国際問題研究所(SIIA)は、2026年版「Haze Outlook(煙害予測)」を公表し、東南アジアで今年後半に深刻な越境煙害(ヘイズ)が発生する可能性が高いとして、最高レベルとなる「レッド(Red)」警戒を発令した。対象はシンガポール、マレーシア、インドネシア、ブルネイの4ヵ国で、特に8月から9月にかけて最もリスクが高まると予測している。
報告書では、エルニーニョ現象の再来に加え、インド洋ダイポール現象(IOD)の影響によって例年以上に高温・少雨となる可能性を指摘している。こうした気象条件は森林火災や泥炭地火災の発生を助長し、煙が国境を越えて周辺国へ広がる要因となる。また、バイオ燃料需要の拡大や経済的な圧力から、焼き畑による土地開発が再び増加する懸念も示されている。
ヘイズは大気汚染の悪化だけでなく、航空便の運航や物流、観光業、屋外建設工事など幅広い分野へ影響を及ぼす。シンガポールでは過去にも煙害によって大気汚染指数(PSI)が危険水準まで上昇し、学校活動や屋外イベントが中止となったほか、医療機関では呼吸器疾患患者が急増した経緯がある。
SIIAは各国政府に対し、森林火災の監視強化や消火体制の充実に加え、ASEAN加盟国間での情報共有や企業との連携強化を呼び掛けている。企業に対しても、従業員の健康管理や物流への影響を想定した事業継続計画(BCP)の見直しを進めるよう提言しており、今年の乾季は例年以上の警戒が必要としている。

