2026年7月2日
Singtel、詐欺電話・SMSを毎月5,000万件以上遮断 AI活用で対策強化
シンガポールの通信大手Singtelは、2026年度(2025年4月~2026年3月)のサステナビリティ報告書を公表し、AI(人工知能)を活用した対策により、毎月5,000万件以上の詐欺電話や詐欺SMSを遮断していたことを明らかにした。巧妙化する特殊詐欺への対策として、通信事業者による防御体制が一段と強化されている。
報告書によると、毎月遮断したのは約3,000万件の詐欺電話と約2,000万件の詐欺SMSで、年間では約6億件に達した。Singtelは、パターン認識や通信量分析、機械学習を組み合わせたAI技術を活用し、不審な通信をリアルタイムで検知・遮断しているという。
また、Singtel傘下のIT企業NCSは、シンガポール国立大学(NUS)と共同でAIを活用したフィッシングサイト検知システムを開発した。1日当たり約10万件の不審なURLを分析し、人手による確認作業を約85%削減できるとしている。
シンガポールでは近年、投資詐欺やフィッシング詐欺、なりすまし詐欺などによる被害が深刻化している。政府は情報通信メディア開発庁(IMDA)や警察、通信事業者と連携し、2025年には約2億6,000万件の詐欺電話と4,000万件の詐欺SMSを遮断したほか、2024年半ば以降は約10万件の不正利用が疑われる携帯電話回線を停止するなど、対策を強化している。
さらにSingtelは、高齢者や外国人労働者、家事労働者を対象に詐欺防止やデジタルリテラシー向上のための啓発活動も実施している。近年は生成AIを悪用した詐欺も増えており、同社は「AIは防御にも攻撃にも利用されるため、技術革新に合わせた対策が不可欠である」としている。
シンガポールではキャッシュレス決済やオンラインサービスの普及が進む一方で、詐欺の手口も複雑化している。今回の報告は、AIを活用した通信事業者と政府の連携が、サイバー犯罪対策において重要な役割を果たしていることを示している。


