AsiaX

未婚者増加と世帯の小規模化進む シンガポールで家族の形が変化

 シンガポールで若年層の未婚率が上昇し、世帯規模の縮小が進んでいることが、シンガポール統計局(DOS)が公表した2025年総合世帯調査(General Household Survey)で明らかになった。晩婚化や少子化に加え、価値観の多様化を背景に、家族のあり方が大きく変化していることが浮き彫りとなった。
 
 調査によると、40歳未満の住民では「一度も結婚したことがない」と回答した人の割合が2020年から増加した。特に25~34歳の年齢層で伸びが目立ち、女性では25~29歳の未婚率が2020年の69.0%から2025年には73.4%へ上昇した。また、結婚経験のある女性が持つ子どもの平均人数も5年前より減少しており、出生率の低下傾向が続いている。
 
 こうした変化に伴い、世帯人数も縮小している。夫婦と子どもで構成される世帯は依然として最も多いものの、単身世帯や夫婦のみの世帯が増加しており、高齢化の進展も相まって家族構成は多様化している。英語を家庭で最も多く使用する住民の割合や、宗教を持たないと回答する住民の割合も増加するなど、社会構造の変化も確認された。
 
 専門家は、住宅価格や生活費の上昇、キャリア形成を優先する考え方の広がりなどが、結婚や出産を遅らせる要因になっていると分析する。一方で、結婚や子育ては個人の価値観やライフスタイルを尊重すべきとの考えも社会に浸透しており、未婚を選択する人も増えている。
 
 シンガポール政府は、出生率の回復を重要課題に位置付け、育児支援や住宅政策、仕事と家庭の両立支援を拡充している。しかし、今回の調査結果は、経済的要因だけでなく、社会全体の価値観やライフスタイルの変化が家族形成に大きな影響を与えていることを示している。
 
 少子高齢化が進むシンガポールでは、今後も家族の多様化を前提とした住宅政策や福祉制度、労働政策の整備が重要な課題となりそうである。