シンガポール全国労働組合会議(NTUC)は、近年、管理職・専門職・技術職(PMET)からの解雇や再就職に関する相談件数が増加していると明らかにした。背景には、企業による海外移転(オフショアリング)や人工知能(AI)の導入拡大があるとみられている。
NTUCによると、従来は製造業や低技能職を中心に見られた海外移転の影響が、近年は管理職や専門職にも及び始めている。特に企業がコスト削減を目的として、財務、IT、顧客サービスなどの業務をマレーシアやインドなどへ移管するケースが増えているという。
さらに、AIや自動化技術の進展により、一部の事務職や分析業務の効率化が進み、人員削減につながる事例も見られる。NTUCは、AIそのものが雇用を奪うわけではないものの、業務内容の変化に対応できない人材が職を失うリスクが高まっていると指摘している。
こうした状況を受け、NTUCは解雇された労働者に対する再就職支援やスキルアップ支援を強化している。特にデジタル分野やAI関連スキルの習得を支援し、成長産業への転職を後押しする方針である。
シンガポール政府も近年、SkillsFutureをはじめとする再教育制度の拡充を進めており、労働者が変化する雇用環境に適応できるよう支援を強化している。
専門家は、シンガポール経済が高度化する中で、企業の海外展開やAI活用は今後も進むと予想している。そのため、労働者には継続的なスキル向上とキャリア転換への準備がこれまで以上に求められるとしている。NTUCは、企業に対しても人員削減だけでなく、従業員の再配置や再教育の機会を積極的に提供するよう呼びかけている。
管理職・専門職の解雇相談増加 NTUCがオフショア移転とAIの影響に懸念
