2026年5月27日
「Yeo’s、タイガービール、今度はガーデニア」 シンガポール人の間で“雇用流出”不安拡大
シンガポールで、製造業を中心に「雇用がマレーシアへ流出している」との不安が広がっている。Yeo’s、タイガービール、ガーデニアなど著名企業による生産移転や人員削減が相次ぎ、SNS上で議論が活発化している。
最近では、パンメーカー Gardenia(ガーデニア)が、製造の一部を マレーシア へ移管し、シンガポールで141人を削減すると発表。また、飲料メーカー Yeo Hiap Seng(Yeo’s)は缶製造をマレーシアへ移し、ビール大手 Asia Pacific Breweries Singapore(APBS)も、タイガービール生産の一部縮小を進めている。
背景には、シンガポールの高コスト構造がある。人件費、電力料金、工場用地コストが上昇する中、企業側は「より低コストなマレーシア南部へ移転した方が競争力を維持しやすい」と判断しているとみられる。特にジョホール州では、シンガポール向け製造拠点誘致が加速している。
SNS上では、「次はどの会社が移転するのか」という不安の声が増加。「シンガポールはサービス業だけの国になってしまう」「一般市民向けの安定職が減っている」と懸念する投稿も目立っている。
一方で、「シンガポールは元々、高付加価値産業へ移行する戦略だった」と冷静に受け止める意見もある。政府は現在、AI、半導体、バイオ医療、金融、データセンターなど高スキル産業への転換を進めており、単純製造業依存からの脱却を目指している。
また、ジョホール・シンガポール経済特区(JS-SEZ)構想により、「シンガポールが本社・研究開発、マレーシアが製造」という分業モデルがさらに進む可能性も指摘されている。
しかし現場レベルでは、「高付加価値産業へ移行できない中間層はどうなるのか」という不安も根強い。最近ではAI導入や海外移転により、ホワイトカラー職を含む幅広い職種で雇用不安が広がっている。
シンガポールでは今後、国際競争力維持と地元雇用保護をどう両立するかが、より重要な政策課題となりそうである。

