シンガポールで、AI(人工知能)の普及に伴い、新卒採用に求められるスキル水準が大きく変化している。業界関係者は、「今後の新卒には最低2年程度のインターン経験や、コミュニケーション能力などのソフトスキルが必要になる」と指摘している。
この議論は、5月21日に開催された「Asia Tech x Summit」のパネル討論で示されたもの。Singtel のシンガポールCEO、Ng Tian Chong氏は、「AIエージェントが一部の初級業務を代替し始めているため、新卒でも従来より高い実務レベルが求められている」と説明した。
同氏によると、現在の新卒採用では、「実質的に2年以上の実務経験相当」の能力を期待するケースも増えているという。特に、業界関連インターンシップ経験の重要性が高まっており、「単なる学歴だけでは差別化が難しい」との認識が広がっている。
また、AI時代においては、技術知識だけでなく、人間ならではの「ソフトスキル」が重要になると強調された。具体的には、コミュニケーション能力、リーダーシップ、問題解決力、適応力などが重視されている。専門家は、「AIが定型業務を代替するほど、人間には判断力や対人能力が求められる」と分析している。
一方で、SNS上では、「新卒に2年経験を求めるのは現実的ではない」という不満も広がっている。Redditなどでは、「AIでエントリーレベル職が減っている」「昔より就職難易度が上がっている」といった声も見られた。
シンガポール政府や教育機関も対応を進めており、生成AI教育やスキル証明制度の導入を拡大している。今後は、学歴中心から「実践経験+スキル重視」へと採用基準がさらに変化していく可能性が高い。
AI時代、新卒に「2年分の実務経験」求める企業も シンガポールで変わる採用基準
