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シンガポール巡るディープフェイク動画拡散 「米国寄り外交」主張に警戒強まる

 シンガポール政府関係者の発言を装ったディープフェイク動画がオンライン上で拡散され、シンガポールが「中国より米国を優先している」と主張する偽情報への警戒が高まっている。
 
 問題となっている動画では、政府高官や著名人が中国に否定的な発言をしているように加工されていた。しかし実際には、AI技術を使って映像や音声を改変したディープフェイクであり、内容は事実ではないとされる。
 
 シンガポール政府は、こうした偽情報について「国家間関係や社会的信頼を損なう恐れがある」と警告。特に、米中対立が続く中で、シンガポールの外交姿勢に関する誤解を意図的に広げる可能性があるとして注意を呼びかけている。
 
 シンガポールは長年、中国と米国の双方と良好な関係を維持する「バランス外交」を重視してきた。中国とは経済面で深い結び付きがあり、一方で米国とは安全保障や投資分野で強い協力関係を持つ。そのため、政府は「特定国側に立つのではなく、国際法と安定を重視する立場」を繰り返し説明している。
 
 専門家は、AI技術の進化により、今後さらに高度なディープフェイクが増える可能性を指摘している。特に選挙、外交、安全保障など社会的影響の大きいテーマでは、一般市民が真偽を見分けることが難しくなる懸念がある。
 
 SNS上では、「本物にしか見えない」「情報を簡単に信じられない時代になった」と不安の声が広がる一方、「メディアリテラシー教育がさらに必要」との意見も出ている。シンガポールでは今後、偽情報対策とAI規制の重要性がさらに高まりそうである。