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中堅世代に広がる価値観の変化 「昇進より人生重視」の声増加

 シンガポールで、中堅世代の会社員を中心に「出世競争から距離を置きたい」と考える人が増えている。昇進や高収入よりも、生活の充実や心の余裕を優先する価値観が広がっていることが背景にある。
 
 きっかけとなったのは、オンライン掲示板Redditに投稿された「なぜもう昇進を追い求めなくなったのか」という問いかけである。これに対し、多くの中堅社員が、「新しい人生スキルを身につけたい」「ペットとの時間を大切にしたい」「さまざまな場所を旅行したい」といった理由を挙げた。
 
 投稿者の中には、過去に激しい競争環境で働いた結果、燃え尽き症候群やストレスを経験した人も多く、「仕事中心の人生に疑問を感じた」と語る声が目立った。また、昇進によって責任や拘束時間が増える一方、幸福感が大きく向上しないと考える人も少なくない。
 
 背景には、コロナ禍以降に進んだ働き方や価値観の変化がある。特に中堅世代では、ワークライフバランスや精神的健康を重視する傾向が強まり、「安定した仕事と十分な私生活」を求める考え方が浸透している。
 
 専門家は、こうした変化により企業側にも柔軟な働き方やキャリア設計への対応が求められると指摘する。単なる昇進や給与だけでは人材を引き留めにくくなっており、企業文化や働きやすさが重要な競争要素となりつつある。