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シンガポール、警察での技術利用を制限へ プライバシー懸念を重視

 シンガポール政府は、治安維持や法執行で先端技術の活用を進める一方、プライバシーへの懸念を踏まえ、利用範囲を慎重に判断する方針を示した。オン ・ イェクン (Ong Ye Kung)調整相は、「法執行で技術は必要だが、使い方には慎重さが求められる」と述べた。
 
 オン氏は、中国・杭州で開催された「シンガポール・中国社会ガバナンスフォーラム」の後、記者団に対し、監視技術や人工知能(AI)は犯罪抑止に有効である一方、市民の受け止め方やプライバシー保護とのバランスが重要だと説明した。シンガポールではHDB団地共用部に設置された監視カメラが違法高利貸し対策に効果を上げた例を挙げ、「住民の多くは受け入れている」と述べた。
 
 一方で、中国で導入されている顔認識データベースと連動したスマートグラスのような高度監視技術については、「シンガポールで同じことを行えば、市民の反発があるかもしれない」と指摘。「技術が可能だからといって、何でも導入するわけではない」と強調した。
 
 また、オン氏は技術が社会に与える影響についても言及した。SNSやアルゴリズム型コンテンツが人間関係や地域社会の結びつきを弱めているとし、特に若者への影響を懸念。「自動再生機能や大人から未成年へのダイレクトメッセージなど、有害要素への対応が必要だ」と述べた。政府は今後、IT企業と協議を進める方針である。
 
 シンガポールでは近年、警察や治安機関によるAIや監視技術の導入が進む一方、個人情報保護や監視社会化への懸念も高まっている。政府は「安全確保」と「市民の自由」の両立を模索している状況である。