AsiaX

シンガポール労働者に「静かな離脱」増加

 シンガポールの労働者の間で、「機能的離脱(functional disengagement)」と呼ばれる現象が広がっていることが最新の調査で明らかになった。これは出勤し業務はこなしているものの、積極性や意欲が低下している状態を指す。
 
 調査によれば、ストレス管理能力は10.4ポイント向上し、生産性も2.9ポイント改善するなど表面的なパフォーマンスは上昇している。一方で、従業員エンゲージメントは1.1ポイント低下し、精神的な充実度の改善も限定的にとどまった。
 
 さらに、自己効力感や目標意識、仕事の意義といった重要な指標も低下しており、特に「目的意識」の低下が顕著である。楽観性も1.4ポイント下がるなど、仕事への前向きな姿勢が弱まっていることが示された。
 
 背景には、雇用不安やキャリア成長の停滞、職場でのプレッシャーなどがあるとされる。別の調査では、多くの労働者が「quiet cracking(静かな崩壊)」と呼ばれる状態を経験しており、内面的なストレスを抱えながら働き続けている実態が指摘されている。
 
 このような状況は、組織全体の生産性やイノベーションにも影響を及ぼす可能性があり、「エンゲージメント不況」とも呼ばれる状態に発展する懸念がある。企業側には、キャリア支援やコミュニケーション強化など、従業員の意欲を引き出す取り組みが求められている。
 
 今回の結果は、見かけ上の成果とは裏腹に、職場における心理的な結びつきが弱まっている現実を示しており、働き方の質そのものが問われる局面に入っていると言える。