2026年4月10日
ホルムズ海峡対応で各国分かれる。シンガポールは交渉拒否の原則維持
中東情勢の緊迫化によりホルムズ海峡の通航が不安定となる中、マレーシアやフィリピン、タイなどがイランと安全通航の交渉を進める一方、シンガポールは交渉を行わない方針を明確にしている。各国の対応の違いが注目されている。
フィリピンはエネルギーの大半を中東に依存しており、イランから「安全かつ迅速な通航」の保証を取り付けた。またタイやマレーシアも自国船舶の安全確保や石油供給維持のため、外交交渉を通じて通航許可を得ている。特にマレーシアは石油供給の約3分の2を同地域に依存しており、実務的対応として交渉を選択した。
一方、シンガポールはこれらとは異なる立場を取る。 ヴィヴィアン・バラクリシュナン外相は、海峡通航は「国家から許可を得る特権ではなく、国際法上の権利」であると強調し、交渉や通行料支払いは行わないと明言した。
その背景には、国連海洋法条約(UNCLOS)の原則がある。シンガポール自身がマラッカ海峡やシンガポール海峡という世界有数の海上要衝に位置しており、ホルムズ海峡で交渉や通行料を認めれば、自国周辺海域でも同様の要求を受ける前例となるリスクがある。
また、同国は特定国との個別交渉ではなく、多国間枠組みでの安全確保を重視しており、国際機関を通じた「安全回廊」提案などに参加している。
今回の対応の違いは、短期的なエネルギー確保を優先する実務路線と、国際法と長期的な海上秩序を重視する原則路線の対比を示している。シンガポールは後者を選択し、グローバル海運国家としての立場を守る姿勢を鮮明にしている。

