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シンガポールの美容業界で苦情が76.2%増加

 シンガポールの美容業界に対し、2025年に苦情が前年比で76.2%も増加し、消費者が被った金銭的損失は合計2万1,000Sドル超に上ったとみられることが分かった。これは関連消費者保護機関がまとめた統計で、サービスの質や契約トラブルが背景にあると指摘されている。
 
 苦情の主な内容としては、施術後の効果が期待に届かない、追加費用の説明不足、違約金の発生、未承諾の契約変更などが多く含まれている。利用者の中には、事前説明が不十分なまま高額なコース契約を結ばされ、後に解約や返金でトラブルになったケースも目立ったという。
 
 業界関係者によれば、近年は美容機器や治療法が多様化している一方で、専門知識の有無や資格の差が消費者に十分に伝わっていない場合があるという。また、広告やプロモーションで強調された効果が実際のサービス内容と大きく乖離することも、トラブル発生の一因とみられている。
 
 消費者保護団体は、「美容サービスに関する契約は詳細な説明を求め、書面での確認を必ず行うべきだ」と強調する。特に長期契約や高額取引を伴う場合、料金体系、解約条件、追加費用の発生条件などを明確にすることが重要だとしている。また、苦情が発生した際の相談窓口の活用や第三者機関による仲裁サービスの利用も推奨されている。
 
 政府機関も、この状況を受けて美容業界全体の規制やガイドラインの強化を検討している。具体的には、広告表示の透明性向上、施術者の資格表示義務、契約書面の標準化などが議論されており、消費者と事業者双方にとって公正な取引環境を整備することが目的とされている。
 
 業界団体は、「多くの美容サロンやクリニックは高品質なサービスを提供しているが、ごく一部の事例が全体のイメージを損なっている」と述べ、改善に向けた取り組みを表明した。また、訓練や教育プログラムを通じて従業員のスキルアップを図り、消費者満足度の向上を目指す動きも進んでいる。
 
 一方で消費者側からは、「高額なサービス契約で不安がある」「説明が不十分だった」との声が根強く、信頼回復に向けた業界全体の努力が求められている。今回の統計を受け、美容サービス利用時の慎重な事前確認と情報収集が改めて重要視されている。