シンガポール統計局の最新報告で、2025年の世帯中央値所得(住宅手当・ボーナスを含む)が月額1万2,000Sドルを超えたことが明らかになった。これは同国の経済発展と雇用環境の改善を反映するとみられ、世帯所得水準における一つの節目となった。
統計局によれば、2025年の世帯中央値所得は前年を上回り、史上初めて1万2,000Sドルの大台を突破した。中央値とは、全世帯所得を低い順から並べた際に中央に位置する値であり、極端に高い所得や低い所得の影響を受けにくい代表的な指標とされる。この上昇は賃金の全般的な押し上げや労働参加率の改善、高付加価値サービス・産業の成長に支えられた結果だと分析されている。
背景としては、2025年の経済成長が堅調だったこと、労働市場での求人増加や賃金改善が広がったことが挙げられる。特に専門職や高度なスキルを要する職種での所得上昇が顕著であり、情報通信技術、金融、ヘルスケアなど多くの分野で給与の伸びが見られた。また、企業側が人材確保を重視し、待遇改善を進めたことも一因とされる。
政府はこの結果について、中間層の所得改善が進んでいる証左と評価する一方で、引き続き所得格差や生活費負担への対応が重要との見解を示した。生活費、特に住宅費や教育費、医療費は依然として多くの家庭にとって重要な関心事であり、政府は所得向上と並行して支援策を検討する方針を表明している。
一部の専門家は、中央値所得の上昇はポジティブな指標であるとする一方、「中央値自体は生活実感を完全に表すものではない」と指摘する。具体的には、家族構成や居住形態、支出構造など個別要因で家計の実質的な余裕度は異なるため、他の指標と併せた分析が必要との見方だ。
また、地域や職業による所得格差にも注目が集まっている。都市中心部と郊外、専門職とサービス業との間で賃金上昇の度合いに差がみられるとの分析もあり、全体的な所得向上が一部の業種・階層に偏らないよう政策調整が求められるとの意見がある。
それでも、中央値所得が1万2,000Sドルを突破したことは、国全体の経済力や所得水準の向上を示す重要な統計的節目である。今後も経済・雇用政策を通じて持続的な所得向上を目指す姿勢が政府や関係者から強調されている。
2025年の世帯中央値所得が初めて月額1万2,000Sドル超に到達
