シンガポール政府は今後5年間で合計1万5,700もの新規雇用を創出する計画を発表した。このうち約2/3に相当する雇用が月収5,000Sドル以上の高賃金ポジションとなる見込みであり、国内労働市場の質的向上と所得水準の底上げが期待されている。
発表によると、これらの新規雇用は主に製造、先端技術、金融サービス、ヘルスケア、デジタル経済関連など多様な分野にわたる。政府系投資機関であるシンガポール経済開発庁(EDB)は、国内外企業との連携を強化し、高付加価値な産業を育成することで競争力のある雇用を生み出す方針だ。
この計画は、労働力不足や人口動態の変化に対応するとともに、技術革新の加速を背景に高い技能を要する職種の需要が高まっている現状を反映したものだ。特にAI(人工知能)、データ分析、サイバーセキュリティ、バイオ医薬などの分野では、専門的な知識と経験を持つ人材の不足が課題となっており、今回の雇用創出策によってこうした分野への人材流入を促す狙いもある。
政府は、これらの良質な雇用機会を作り出すことで、若年層や中堅層のキャリア形成を後押しすると同時に、高所得層の増加と家計の安定化につなげたいとしている。また、企業側にも賃金引き上げや人材育成への投資を促す効果が期待される。
一方で、経済の専門家は「雇用創出そのものは歓迎されるが、長期的な競争力を維持するには人材のスキル強化が不可欠だ」と指摘する。実際、技術革新が進む中で必要とされる能力は高度化しており、教育機関や職業訓練プログラムの充実もセットで進めるべきとの意見もある。
政府は今回の雇用計画に合わせ、スキルアップ支援や再教育プログラムも強化する方針を示している。特にキャリア転換を図る成人労働者や、初めて高付加価値職に挑戦する人々に対して、公的支援や訓練機会を拡大する予定だ。
今回発表された新規雇用創出計画は、国内経済の革新力を高め、所得向上と雇用の安定を同時に実現するための重要な政策となる。政府は引き続き、企業や教育機関と連携し、シンガポール経済の持続的成長を支える人材基盤の強化を図るとしている。
シンガポール、5年で1万5,700の雇用創出へ
