AsiaX

2025年、若年・女性の薬物乱用者の摘発が増加

 シンガポールの薬物取締当局は、2025年に若年層や女性の薬物乱用者の摘発件数が増加したと発表した。これまで薬物犯罪の主な構成は中年男性が中心であったが、ここ最近では若者や女性の関与が相対的に増えており、取り締まりや介入の在り方が新たな局面を迎えている。
 
 当局による統計データでは、摘発された薬物関連事件の中で20代以下の若者の割合が前年より上昇し、特に10代の若者が関与するケースや、SNSやオンラインを介した薬物取引の疑いがある事案が目立ったという。また、女性の薬物乱用者も増加傾向にあり、単独での使用や共依存的な環境での乱用が確認されている。
 
 シンガポールでは薬物の所持・使用・取引は厳しく禁止されており、法令違反が認められた場合は重い処罰が課される。薬物関連で逮捕された者には、刑事処分だけでなく、治療やリハビリテーションへの参加を義務付けるケースもある。
 
 専門家は、若年層や女性が薬物に手を出す背景には、ストレスや孤立感、精神的な不安定さ、対人関係の悩みなど複合的な要因が絡んでいると分析している。特にSNSやインターネットを通じた情報交換が日常化する中で、薬物へのアクセスや誘因が容易になっているとの指摘もある。
 
 当局は摘発を強化する一方で、薬物乱用の予防教育や早期介入の重要性を強調している。学校やコミュニティ団体と連携し、若者や女性に向けた啓発プログラムの拡充を進める方針だ。また、薬物依存に陥った人々が社会復帰できるよう、治療支援やカウンセリング体制の整備も図っている。
 
 保護者や教育関係者には、若者の行動や精神状態の変化に注意を払い、オープンな対話の環境を整えることが求められている。薬物乱用は個人の健康問題だけでなく、家庭や学校、地域社会にも深刻な影響を及ぼす可能性があるため、早期の支援と介入が重要だとされる。
 
 政府当局は、薬物犯罪の抑止に向けた法執行措置を継続する一方で、根本的な予防策の強化が必要だとして、関係機関や民間団体との協力を深化させる考えを示している。2025年の摘発動向は、薬物問題が単に摘発件数の増加だけではなく、対象者の属性が変化しつつあることを示す重要な指標となっている。今後はデータに基づいた対策と支援の平衡が求められる。