シンガポールの民間航空庁(CAAS)は、航空分野の脱炭素化と技術革新を加速させるため、計8件の協定を締結したと発表した。この中には、開放型ファン(オープンファン)航空機エンジンの実証を行う世界初の空港テストベッド構築が含まれている。
開放型ファンエンジンは、従来のターボファンに比べて燃費効率の向上と二酸化炭素排出量の削減が期待される次世代技術である。今回の取り組みでは、空港という実運用環境での騒音、排出、運用影響、地上インフラとの適合性などを検証し、商業化に向けた課題を洗い出すことを目的とする。
CAASによると、締結した8件の協定は、航空機・エンジンメーカー、研究機関、空港運営者との連携を軸に、持続可能な航空燃料(SAF)、デジタル運航、先進保全、次世代航空機運用など幅広い分野を網羅している。テストベッドは、研究から実装までの時間短縮を図る「実証の場」として機能し、国際的な技術標準づくりにも貢献する見通しだ。
シンガポールは、航空ハブとしての強みを生かし、研究開発と実運用を結ぶ実証環境の整備を進めてきた。今回の協定により、国内外の企業・研究者が同地で実証を行いやすくなり、技術の社会実装と産業競争力の強化が期待される。
一方で、開放型ファン技術は騒音管理や空港運用への影響といった課題も指摘されている。CAASは、関係者と連携しながら段階的に検証を進め、安全性と環境配慮の両立を図る方針である。
今回の発表は、航空分野の脱炭素化を実運用で前進させる象徴的な一歩と位置付けられる。CAASは今後も官民連携を強化し、次世代航空技術の実装拠点としての役割を拡大していくとしている。
CAAS、開放型ファン航空機エンジンの空港実証へ
