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MAS、為替政策据え置きも2026年インフレ予測を上方修正

 シンガポール金融管理局(MAS)は最新の金融政策声明において、シンガポールドルの為替政策を現行のまま据え置くと発表した。一方で、2026年のインフレ率見通しについては上方修正し、物価上昇圧力が想定より長期化する可能性を示した。
 
 MASは、世界経済について地政学的リスクや金融市場の変動など不確実性が残るとしつつも、シンガポール経済は引き続き底堅いと評価している。特にサービス部門を中心に賃金や運営コストの上昇が続いており、これが物価に反映されやすい状況にあると分析した。
 
 2026年のインフレについては、国内需要の持続や人件費上昇、サービス価格の粘着性を背景に、従来想定よりも高い水準で推移する可能性があると指摘している。ただし、輸入インフレ圧力は徐々に落ち着く見通しであり、物価上昇が急激に加速するとの見方は示していない。
 
 為替政策についてMASは、現行の政策バンドの傾きや幅、中心値を変更せず、シンガポールドル相場を通じて中期的な物価安定を確保する方針を維持した。MASは政策金利を用いず、為替レートを主な政策手段とする独自の枠組みを採用している。
 
 市場関係者の間では、今回の判断は「景気減速リスクとインフレ抑制のバランスを取った内容」との見方が広がっている。為替政策の据え置きは企業活動や投資環境の安定につながる一方、インフレ見通しの上方修正は、生活費や事業コストへの警戒感を残す形となった。
 
 MASは今後について、経済指標や国際情勢の変化を注視し、必要に応じて政策を調整する姿勢を示している。今回の声明は、シンガポール経済が安定成長を維持する一方、物価動向への慎重な監視が続く局面にあることを改めて示した。