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ニパウイルス警戒で入国時検査強化

 シンガポール当局は、ニパウイルス感染症の発生が報告されている地域からの渡航者を対象に、空港での入国時スクリーニングを強化すると発表した。現時点で、シンガポール国内での感染例は確認されていないとしている。
 
 シンガポール保健省(MOH)と移民・関税庁(ICA)によると、チャンギ国際空港では、感染が報告されている地域から到着した渡航者に対し、健康状態の確認や体調申告を含む検査を実施する。発熱や呼吸器症状などが確認された場合は、追加の医療評価が行われる可能性がある。
 
 ニパウイルスは主に動物由来の感染症で、人に感染すると発熱や頭痛、重症化した場合は脳炎などを引き起こすことがある。過去には南アジアを中心に散発的な集団感染が報告されており、致死率が比較的高いことから各国が警戒を強めている。
 
 MOHは、今回の対応について「予防的措置」であると説明し、一般市民へのリスクは現時点で低いと強調した。医療機関にはすでに注意喚起が行われており、疑わしい症状が見られる患者が来院した場合には、速やかに検査・隔離ができる体制を整えているという。
 
 また、当局は渡航者に対し、流行地域を訪れる際は動物との不必要な接触を避けることや、体調不良時には速やかに医療機関を受診することを呼びかけている。帰国後に発熱などの症状が出た場合は、渡航歴を申告するよう求めている。
 
 シンガポールはこれまでも新興感染症への水際対策を重視しており、SARSや新型コロナウイルス流行時の経験を踏まえ、早期検知と封じ込めを基本方針としている。今回のニパウイルス対応も、国内感染を未然に防ぐための迅速な措置と位置付けられている。
 
 当局は、国際的な感染状況を引き続き注視し、必要に応じて検査対象や対策内容を見直す方針である。現時点では冷静な対応を呼びかけつつ、最新情報の確認を促している。