シンガポール在住の50歳の女性が、未使用の美容サロン前払金約1万4,000Sドル(約124万円)の返金を求めて裁判所に申し立てを行い、話題を呼んでいる。女性は、数年前に脳の手術を受けた後に経済的困窮に陥り、未使用クレジットの返金が自身の負債返済に不可欠だと主張している。
女性は、美容サロンとパッケージ契約を結び、複数の施術を前払いで購入していた。しかし健康上の理由から通院や治療が必要となり、多額の施術を消化できないまま残額が発生していた。手術後の体調不良とそれに伴う収入減で、生活費や治療費の負担が重くなったとして、前払金の返還を請求するに至ったという。
サロン側は、利用規約に基づき未使用分の返金には応じられないとの立場を取っている。契約には通常、前払金はサービス提供のための契約金として扱われ、キャンセル料やサービス提供済み分の計算が含まれていると説明。これに対し、女性側は「予見不能な健康問題により利用できなかった事情を考慮すべきだ」と反論している。
この訴訟は、消費者契約法と事業者側の契約条項における返金義務の範囲が争点となる見込みだ。専門家は、前払金契約は消費者にとって便利な一方、事業者にとっては安定収入を確保する手段でもあることから、予期せぬ事情による返金対応の基準を明確にする必要があると指摘する。
裁判所は双方の主張と証拠を精査した上で判断を下す見通しである。今回の事案は、健康上の重大な事情が契約上の義務にどこまで影響するかという、消費者保護と契約自由のバランスについても議論を呼んでいる。制度面では、将来的に医療上の理由でサービスを利用できない場合の返金ガイドライン策定を求める声もある。
脳手術後の女性、未使用の美容サロン前払金1万4,000Sドルの返還を請求
