シンガポールは、国境を越えて発信される詐欺電話に対抗するため、ASEAN域内で初となる越境追跡メカニズムを提案した。発信元の特定を迅速化し、詐欺組織の摘発と被害防止を強化することが狙いである。
提案された仕組みでは、加盟国の通信当局や法執行機関が連携し、詐欺が疑われる通話データを安全に共有する。これにより、発信国と着信国が異なるケースでも、通話の経路や関与者を迅速に追跡できるようにする。シンガポール側は、詐欺電話の多くが複数国を経由する現状では、単独国家の対応には限界があると指摘している。
近年、ASEAN域内では投資詐欺やなりすまし詐欺が急増し、電話やインターネットを通じた被害が社会問題化している。特に国境をまたぐ通信は、捜査権限や法制度の違いが障壁となり、摘発までに時間を要することが多かった。
シンガポールは、この新たな枠組みが実現すれば、加盟国間の情報共有と捜査協力が制度化され、被害の未然防止と早期遮断が可能になると強調する。提案には、各国の主権や個人情報保護に配慮しつつ、共通基準を設けることも盛り込まれている。
専門家は、ASEAN全体で足並みをそろえた対応は、詐欺組織に対する抑止力を高めると評価する。一方で、法制度や技術水準の差をどう埋めるかが今後の課題とされる。
この提案は、デジタル犯罪が拡大する中で、地域協力を通じた新たな対抗モデルとなる可能性があり、ASEAN各国の反応が注目されている。
シンガポール、詐欺電話の越境追跡でASEAN初の共同枠組みを提案
