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社会

2025年12月26日

シンガポール企業界2025を振り返る

 2025年のシンガポール企業界は、ガバナンス問題や訴訟、企業再編など複数の重要な出来事によって揺れ動いた一年となった。これらの出来事は国内外の投資家や経営者の関心を集め、企業統治の重要性を改めて浮き彫りにした。
 
 まず不動産大手シティ・デベロップメンツ・リミテッド(CDL)では、創業家のクウェック・レング・ベン会長と息子のシャーマン・クウェックCEOとの間で取締役会を巡る対立が発生した。独立取締役の任命や委員会再編を巡って意見が対立し、この内紛は株価の変動を招くとともに、家族経営企業における後継者問題とガバナンスの在り方への議論を呼んだ。
 
 一方、環境・水処理企業ハイフラックス(Hyflux)の元CEOオリビア・ラムらに対する刑事裁判も進行し、同社の破綻と最大級の脱塩プラント「トゥアスプリング」プロジェクトの巨額損失が司法の場で検証された。この裁判は約3,000億円近い債務や約3万4,000人の投資家への影響といったプロジェクトファイナンスのリスクと情報開示の課題を改めて浮き彫りにしている。
 
 保険業界でも動きがあった。OCBC銀行による大東海上火災保険(Great Eastern)の完全買収と上場廃止案は少数株主の反対により成立しなかった。この結果、同社は公開維持基準を満たすために追加株式を発行することになり、買収戦略と株主利害調整の難しさが示された。
 
 また、NTUCエンタープライズ傘下のインカム保険(Income Insurance)では、独蘭アリアンツとの提携案が一般株主総会で問題となり、政府関係者も議論に巻き込まれた。最終的に同社代表は責任を取って退任する意向を表明し、経営責任と取締役会の透明性が焦点となった。
 
 企業不正・コンプライアンス面では、海洋・造船大手シートリウム(Seatrium)がブラジルおよびシンガポール当局との汚職捜査に関して計約2億9,000万USドル規模の和解金を支払うと発表し、多国籍企業における腐敗防止と法令順守の重要性が改めて強調された。
 
 金融規制面でも、シンガポール金融管理局(MAS)はAML(アンチ・マネー・ロンダリング)違反について複数の金融機関に計約2,745万USドルの制裁を科すなど、金融機関の内部管理強化を促した。
 
 一方で、資本市場活性化に向けて5十億USドル規模の株式市場開発プログラムが立ち上がり、投資家参加や中小型株流動性の強化が図られたことも、2025年の企業環境のハイライトと言える。
 
 こうした一連の出来事は、ガバナンスの透明性、株主価値の保全、国際コンプライアンスの順守といったテーマを浮き彫りにし、シンガポール企業界が直面する課題と変革の方向性を示した。

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