2025年1月~11月にかけて、シンガポールの入国管理・検問所庁(ICA)で約4万1,800人の外国人が入国を拒否されたことが明らかになった。これは2024年や2023年の同期間と比べても大幅な増加であり、不適格な旅行者や望ましくない渡航者に対する検査・拒否措置が強化されていることを示している。
2026年1月から、ICAは「ノー・ボーディング・ディレクティブ(No-Boarding Directive:NBD)」という新たな制度を航空会社向けに導入する。NBDは、シンガポール入国が不適格と判定された旅行者を出発前の搭乗段階で航空会社が乗せないよう指示する仕組みであり、これにより不適格者が空港に到着する前に入国を阻止できるようになるという。対象航空会社にはシンガポール航空、スクート、エミレーツ航空、ターキッシュエアラインズ、エアアジアなどが含まれ、2026年3月以降はさらに多くの航空会社が参加予定である。
NBD導入の背景には、従来の航空会社での搭乗手続きがパスポートの視認のみで行われ、人為的誤りが生じやすいことや、適切なビザや申請情報の有無を事前に確認できない点への改善があるという。ICAはSGアライバルカードや搭乗者情報などを活用して、高度なデータ分析や事前識別を進めている。
また、ICAはチャンギ空港をはじめとするチェックポイントでの自動化・生体認証技術も強化しており、偽造防止機能や多モーダル生体認証システムによって、不正な入国を試みる者を迅速に検出する体制を整えつつある。
NBDは現在、米国やオーストラリアなどの国でも類似の制度が運用されており、シンガポール当局はこれを導入することで、潜在的なリスク要因を含む渡航者の到着前に対策を講じ、国内の安全保障や入国管理を強化する狙いだとしている。
制度は2026年1月30日から段階的に開始され、NBDが発行された旅行者は、搭乗拒否後にICAへの申請を行って入国承認を得る必要がある。航空会社が誤ってNBD対象者を搭乗させた場合、最大1万Sドルの罰金や関係者への法的措置の可能性もあるとしている。
外国人の入国拒否件数の増加と新制度導入は、グローバルな移動が拡大する中で、シンガポールが安全かつ効率的な入国管理体制の構築を進めていることの象徴となっている。
外国人4万1,800人が入国拒否、航空会社に搭乗拒否制度
