シンガポール警察は2025年12月16日、不動産管理会社の取締役である55歳の女性が、複数のコンドミニアムの住民から徴収した管理費のうち、合計40万Sドル超(約4,800万円)を不正に流用したとして、12月17日に、背任(刑事信託違反)や偽造関連の容疑で起訴される見込みであると発表した。
警察によれば、被疑者は2017年から2024年にかけて、4件のコンドミニアムの管理会社として住民から支払われた月次管理費を取り扱っていた。本来であれば住民は各コンドミニアムの口座に小切手で支払うが、彼女は現金や自身の会社口座への振込を住民に提案し、管理費を不正に流用した疑いがある。
さらに、彼女は不正を隠すために偽の請求書を作成し、銀行書類や監査済み財務諸表まで偽造していた疑いがあるという。これらの行為は重大な財務不正に該当し、警察は複数の住民から2021年4月〜2024年5月にかけて被害を知らせる報告を受け、捜査を進めてきた。
もし「代理人としての背任」(criminal breach of trust by agent)で有罪となった場合、最長懲役20年および罰金が科される可能性がある。また、詐欺目的の偽造罪でも最長懲役10年および罰金、勘定書類の偽造でも最長10年の懲役、罰金、またはその両方が科される可能性がある。
警察は容疑者の名前や勤務先企業名を公表していないが、このような管理費の不正流用は住民の信頼を損ない、管理制度への不信感を高める行為であるとして、今後の裁判で事実関係を明らかにするとしている。
この事件は、シンガポールにおける集合住宅管理の法令遵守と財務透明性の重要性を改めて浮き彫りにしている。
コンドミニアム管理費40万ドル超着服か、不動産管理会社取締役起訴
