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社会

2025年12月18日

STBが10社の旅行代理店を一時業務停止

 シンガポール政府観光局(STB)は2025年12月16日付で、10社の旅行代理店の営業許可を一時停止したと発表した。これは各社が法定で求められる監査済み財務諸表、または年次事業プロファイル届出(Annual Business Profile Returns)を会計年度末後6ヵ月以内に提出しなかったためである。停職措置は必要書類が提出されるまで、または最長で6ヵ月間継続される見込みだ。
 
 STBは声明で、旅行代理店法(Travel Agents Act 1975)に基づき、許可を受けた代理店は監査済みの財務諸表と年次事業プロファイルの提出を毎年行う義務があると説明している。これらの書類は企業の財務健全性や経営状況を把握する上で重要なものであり、提出遅延は業界全体の信頼性に影響を及ぼす可能性があるとして、規制遵守の重要性を強調した。
 
 対象となった10社は、以下の通りである。
 
●ASAP International Travel Pte Ltd
 
●Asiagoodlife Pte Ltd
 
●Betel Box Asia Pte Ltd
 
●Fox Brothers Travel Pte Ltd
 
●Go City Pass Asia Pte Limited
 
●Gululu Pte Ltd
 
●Hotelux Pte Ltd
 
●Huamei Holidays Pte Ltd
 
●Native Inc Pte Ltd
 
●Rayna Tours Pte Ltd
 
 STBは、対象代理店は既存顧客に対する責務(既存の旅行手配など)を履行する必要があるものの、新規予約受付は停止されると明示している。この措置により、旅行者が今後計画していた旅行の予約を同社経由で行えなくなる可能性があるため、利用者へ注意喚起も行われている。
 
 観光業界関係者は、旅行代理店の規制遵守が観光目的で訪れる旅行者の安全性と信頼性を保つために不可欠だと指摘する。STBはこれまでも、書類未提出や財務状況に関する法令違反が確認された旅行代理店に対しては停止や取り消しなどの強い措置を講じてきた。過去にも複数社が同様の理由でライセンスを剥奪された例がある。
 
 STBは依然としてライセンス保有代理店のリストやステータスを、公式のTravel Related Users’ System(TRUST)ウェブサイトで随時更新しており、旅行者や業界関係者に最新の情報を提供している。
 
 今回の一時停止措置は、シンガポールの観光産業におけるコンプライアンス強化の姿勢を示すものであり、旅行者保護と業界の信頼維持に向けた取り組みが進められていることを示している。

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