シンガポール保健省(MOH)は、私立医療患者が公共医療へ流入する増加傾向を抑えるため、統合シールドプラン(Integrated Shield Plan、以下IP)に関する新たな規則を導入すると発表した。オン・イェクン保健相は2025年12月14日、政策変更の狙いと影響について説明した。
IPは公的医療保険「MediShield Life」に上乗せして、公立病院の上位病室や私立病院の治療費をカバーする民間保険であり、多くの加入者が追加のライダー保険を付帯している。しかし、近年保険料の上昇を受けて、年間約10万人がライダーを解約またはダウングレードし、私立医療から公共医療への移行が進んでいるという。これが公共医療への負荷増大につながる懸念が生じている。
新規則は2026年4月1日以降に販売されるIPライダーに対し、最低控除額(デダクタブル)をカバーすることを認めないというものだ。これにより、新たなライダー保険の保険料は従来より約30%低くなる見込みで、加入者の負担を減らす狙いがある。加入者は入院ごとに最低1,500Sドル(約18万円)の自己負担が必要になり、自己負担上限も従来の3,000Sドル(約36万円)から6,000Sドル(約72万円)へと引き上げられる。
オン保健相は、この規則変更が保険料の高騰を抑え、加入者がより手頃なライダーを維持できるよう促すことを目的としていると説明した。一方で、自己負担額の増加により、検査や治療の利用方法については加入者自身が保険アドバイザーと相談し、保険料の節約と負担増のバランスを慎重に検討する必要があると述べている。
MOHは、これらの変更が公共医療への過剰な流入を抑制し、公立病院のリソースと待ち時間への圧力を軽減する手段になると期待している。また、公共医療システム全体の長期的な持続可能性を確保するため、状況を継続的に監視し、適切な対策を講じる方針だ。
シンガポール、私的医療から公共医療への流入抑制へ
