ウォン首相「シンガポールの成功は努力の成果」

　シンガポールのローレンス・ウォン首相は、「Singapore Albatross File Exhibition」の開幕式で演説し、シンガポールの生存と成功は決して保証されたものではなく、国民と政府の不断の努力によって勝ち取られてきた成果であると強調した。
 
　同展は、シンガポール建国初期の安全保障上の脅威や政治的挑戦を記録した「Albatross File」をテーマとする展示で、国家の危機管理と防衛意識の変遷を一般に紹介するものとなっている。ウォン首相は、「当時の指導者たちは、国家存続のために極めて難しい判断を迫られ、国民もまた厳しい時代を共に支えた」と述べ、現代の安定はその延長線上にあると語った。
 
　さらに同氏は、「今日の世界は地政学的緊張、経済の不確実性、社会の分断など多くの危険に満ちている」と指摘。これらの課題に対処するためには、国家としての団結、強靭性（レジリエンス）、長期的視野を持つ政策策定が不可欠であると訴えた。
 
　ウォン首相はまた、シンガポールが生き残り、繁栄し続けるためには、国民が「常に現実を直視し、外部環境の変化に応じて戦略を調整しなければならない」と述べ、成功は当たり前ではなく、継続的に努力して維持すべきものであると強調した。
 
　Albatross File 展は、シンガポールの過去と現在をつなぐ「国家がいかに危機を乗り越えてきたか」を示す教育的な機会となっており、ウォン首相は「未来の不確実性に備えるためにも、歴史から学ぶ重要性」を国民に呼びかけた。
 
　展示は一般公開されており、来場者は国家の安全保障に関する歴史資料や映像、当時の機密文書などを閲覧できる。国民への理解促進と危機意識の共有を目的とした取り組みである。