2025年12月9日
CourtsとPRISM+、誤解を招く表示で当局が是正命令
シンガポールの競争・消費者委員会(Competition and Consumer Commission of Singapore、CCS)は、消費者向け家電・家具販売を手掛けるCourtsと、ディスプレイなどを扱うオンライン小売ブランドPRISM+ に対し、ウェブサイト上の機能が消費者を誤導するものだったとして、改善を命じた。
Courts のサイトでは、消費者が特定の商品をカートに入れた際に、ユーザーの同意なく別の商品が自動的にカートに追加される事例があった。たとえば、ある消費者が iPadを選んだ後、Acerの掃除機が勝手にカートに入れられていたという。これは消費者が気付かずに支払いを進めてしまう恐れがあり、不公正な取引慣行と判断された。CourtsはCCSの調査を受け、2025年6月以降に当該機能を停止し、影響を受けた顧客への返金も約束した。
一方 PRISM+は、偽のカウントダウンタイマーや在庫残少とする「In Stock: Running Low」といった誤解を招く表示を用いて、消費者に急いで購入させるよう促していた。調査では、これらの表示は実際の在庫状況や販売実績と無関係で、虚偽あるいは誤解を招く情報であると判定された。また「最大67%オフ」とする割引表示も、実際には最大で約38%の割引しかできておらず、割引率が誇張されていた。
CCS は、ウェブサイト上で購入の意思表示のない商品の代金を請求したり、虚偽または誤解を招く表現で消費者を急がせたりする行為は、いずれも不公正取引にあたると指摘。企業には、消費者の真の同意を得ること、価格や在庫などの情報は正確かつ明示的に開示すること、偽のタイマーや虚偽の在庫表示を使わないことなどを求めた。
消費者に対しては、オンラインで買い物をする際、カート内に思いがけない商品がないかを確認し、支払い金額が自分の意図したものか必ずチェックするよう呼びかけている。虚偽の「在庫残少」「タイムリミット付き購入促進」などの演出には注意を払い、衝動的な購入決定を避けるよう助言している。
CCSは、今回の対応について「デジタル空間における公平で透明な取引環境の確保に引き続き尽力する」と述べた。


