シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXニュースTOP妊娠38週の銀行員、70代女性を詐欺から救う

社会

2025年12月8日

妊娠38週の銀行員、70代女性を詐欺から救う

 2024年12月24日午後、DBS Bankの支店(Century Square)で働く妊娠38週のアシスタントサービスマネージャー、Fionice Teohさん(31歳)は、70代の女性顧客が預金約19万Sドルを引き出そうとした際、不審な点に気づいて取引を止めた。
 
 女性は高齢者を狙った「銀行職員や捜査機関になりすました詐欺グループ」から電話を受け、「資金洗浄捜査のため現金化してほしい」と指示され、焦って現金引き出しを要求していたという。周囲の客の前で「これが私の金だ。全部出せ。出さないなら口座を閉める」と声を荒げたため、Teohさんは約2時間にわたって冷静に対応を続けた。
 
 Teohさんは「自分の仕事は単なる取引処理ではなく、特に弱い立場の人を守ること」と語った。彼女は即座に銀行のアンチスカムチームに連絡し、即時出金を止める措置を取らせた。結果として、女性は約20万Sドル相当の貯蓄を詐欺被害から守られた。
 
 同夜、Singapore Police Force(SPF)のアンチスカム部門が女性宅を訪れ、別支店で既に1万2,000Sドルが引き出されていたことを確認。女性は詐欺グループと頻繁に連絡を取り、現金を渡す準備をしていた。警官の説明によりようやく事情を理解し、被害を免れた。
 
 このケースは、今年に入りシンガポールで急増している「公的機関をかたる詐欺」の典型例である。Teohさんや銀行側の迅速な対応は、多数の高齢者の貯金を守る上で重要な教訓となった。今後も銀行や当局による警戒と支援が求められる。

おすすめ・関連記事

シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXニュースTOP妊娠38週の銀行員、70代女性を詐欺から救う