シンガポール警察(SPF)は、レンタカー・リース会社 SRS Auto に登録された車両121台に対し、「処分禁止命令(prohibition of disposal orders)」を発出した。これは、車両の売却や名義変更を禁じるもので、同社が関係する自動車リース業界に対するマネーロンダリング疑惑の捜査が拡大する中での措置である。
この捜査は、2024年に警察が不審取引の報告を受けたことに端を発し、その後、カンボジア人大実業家 Chen Zhi とその関連会社群への捜査が国際的に進んでいた流れの一環である。
SRS Autoの実質オーナーである Tan Yew Kiat は、11月末に同社オフィスへの家宅捜索を受け、その後逮捕された。警察筋によれば、Tan氏はマネーロンダリングの疑いで拘束されたという。
関係先によると、SRS Autoは2017年に、Chen氏に関連する企業 Skyline Investment Management からの回転型ローンファシリティを受けていた。だが、この資金提供の商業的合理性に疑問があり、業界関係者からは「重大な警告サイン(red flag)」とする見解も出ている。
当局は、SRS Auto以外の複数のレンタカー・リース会社についても捜査対象としており、自動車リース業界における未規制の資金流入と裏付け取引の有無を含め、広く調査を進めている。
今回の処分禁止命令は、疑惑が晴れるまで資産の移動を封じる狙いだ。関係者は、自動車リース会社を通じた資金洗浄が国際的な犯罪収益の隠蔽手段となりうる点を指摘しており、今後の捜査の行方に注目が集まっている。
SRS Autoに対し車両処分禁止令、マネロン疑惑で捜査拡大
