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マッサージ店Wan Yang閉鎖、客の被害総額90万Sドル超

 シンガポールの人気マッサージ/リフレクソロジー・チェーン「Wan Yang」が、2025年11月中旬に全5店舗を予告なく閉鎖。閉店の知らせが出されたことで、同店の顧客のあいだで、未使用のプリペイド(前払い)パッケージの分の返金を求める声が相次いでいる。
 
 シンガポール消費者協会((CASE)への報告によれば、11月23日時点で15件の苦情が寄せられており、未使用パッケージの合計損失額は S$2万9,000超 に上るという。
 
 閉鎖された店舗は、AMK Hub、HarbourFront Centre、Thomson Plaza、One Tampines Hub、Parkway Parade のいずれも。閉店直前まで普段どおり営業しており、利用者からは「特に異常は感じなかった」「つい先日まで予約を受け付けていたのに突然閉めた」という驚きと不満の声があがっている。
 
 顧客のなかには数千Sドル単位のプリペイド券を購入していた人もおり、今回の閉鎖で「今後その分のサービスを受けられないかもしれない」と懸念を示している。たとえば、ある顧客は2025年4月に購入した2,000 Sドルのパッケージのうち未使用分が残っていたと語っている。
 
 CASEはWan Yang側に対し、未使用分の返金または相応の補償を求めるよう要求しており、同団体が仲介窓口となって対応を進めるとしている。未使用パッケージを保有する顧客は、CASEに連絡することで支援を受けられるという。
 
 また、この事案を受け、CASEは美容・ウェルネス業界全体に対し「プリペイドパッケージ購入後の5日間クーリングオフ期間」を義務付ける規制の導入を政府に提言している。前払い方式のサービスでこうした損失が繰り返されていることへの懸念からだ。
 
 Wan Yangの突然の閉店は、サービス利用者にとって大きな経済的打撃となっただけでなく、プリペイド方式のサービスのリスクをあぶり出す出来事となった。今後、同様の事態を防ぐには、業界全体での制度改善と利用者保護の強化が求められる。

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