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経済

2025年12月4日

シンガポール企業の約6割、2026年は「人員維持」へ

 2025年12月2日、シンガポール全国雇用者連盟(SNEF)の最新調査によれば、来年(2026年)にかけて「人員採用の凍結(headcount freeze)」を計画する企業が、回答企業の約58%に上ることが明らかになった。これは、前回(2025年)調査時の50%から大幅に増加しており、企業の慎重な経営姿勢が浮き彫りとなっている。
 

調査結果のポイント


 
●回答は約240社、従業員数は合わせて12万人超にのぼる。
 
●58%の企業が人員凍結を予定。特に従業員数50人以下の小規模企業ではその割合が約63%と高い。
 
●一方で人員削減を計画する企業は約8%にとどまり、2024年の9%とほぼ横ばい。大手企業(従業員数200人超)における削減傾向がやや強い。
 
●また、給与に関しては約48%の企業が賃金抑制または据え置きを予定。前年に比べて10ポイントの増加だ。
 

背景と企業の姿勢


 調査では、今後12ヵ月で最も大きな人材・経営面の試練として「人件費の高騰」が挙げられており、79%の企業がこれを主要課題と回答。続いて「専門職・技術職の採用/定着難」「高度スキル人材の不足」が挙げられている。
 
 こうした中でも、低賃金層(LWW: lower-wage workers)については、96%の雇用主が来年もベース給の引き上げを予定しており、最低賃金層への配慮は継続される見込みだ。
 

意義と今後への示唆


 この調査結果は、グローバル経済の不透明感やコスト上昇圧の中で、多くのシンガポール企業が「新規採用より既存人材の活用」「慎重なコスト管理」を優先するという経営判断を示している。
 
 特に小〜中規模企業では、新人採用よりも固定費抑制が急務となりやすく、この傾向は当面続く可能性が高い。
 
 一方で、賃金の抑制が進むなか、低賃金層の待遇改善に一定の意欲を示す企業が多い点は、社会的な配慮の現れとも言える。
 
 ただし、人員凍結や賃金抑制が従業員のモチベーションやキャリア機会に影響を与える可能性もあり、雇用の「質」と「安定性」をどう両立させるかが今後の鍵となるだろう。

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