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特別支援学校、50年の歴史に幕

 シンガポールの特別支援学校、Mountbatten Vocational School(MVS)が2025年末で閉校することとなった。創立から約50年、障害のある若者に就労や生活に必要な技能を教えてきた同校は、近年の入学者数減少などを背景に、その役割を終える。長年にわたり職業訓練と自立支援を担ってきただけに、関係者の間には大きな衝撃が広がっている。
 
 閉校により、在校生と家族は新たな受け入れ先を探す必要に迫られている。すでに別の教育機関や福祉施設への転校を試みたものの空きがなく、やむを得ず民間の就労体験プログラムに頼るケースもあるという。保護者からは、これまで受けられた手厚い支援が失われることへの不安の声が上がっている。
 
 MVSは主に18歳前後から21歳までの生徒を対象に、清掃、飲食、家事支援など実践的技能を教えてきた。資格取得や企業実習を経て就職に結びついた例もある一方、進路を見つけられない生徒も多く、卒業後の支援の難しさは以前から課題とされていた。
 
 背景には生徒数減少に加え、専門施設の運営を継続する財政面の困難もある。閉校は「18歳以降の支援の壁」を改めて浮き彫りにした形であり、若者の受け皿整備が社会全体の課題であることを突きつけている。