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2026年の新規分譲コンド供給減、郊外集中が鮮明に

 シンガポールでは2026年における新規プライベートコンドミニアム(EC除く)の供給が大きく減少する見通しである。市場調査会社の予測によれば、新規発売プロジェクト数は前年の約26件から17件程度へ縮小し、供給戸数も約29%減少すると見込まれている。これにより、新規物件の選択肢は限定的となり、人気エリアでは価格の下支え要因となる可能性が高い。
 
 一方で、建設が完了し引き渡しを迎える物件数は増加する見通しである。2026年に完成予定の住宅戸数は前年を上回るとみられ、短期的には賃貸市場に一定の供給増がもたらされる可能性もある。ただし、新築供給全体の減少傾向は中長期的な需給タイト化につながる可能性がある。
 
 地域別に見ると、新規プロジェクトは郊外エリアに集中する傾向が鮮明である。タンピネス、ベイショア、レイクサイドなど交通網が整備された地域が中心であり、市街地中心部での供給は限定的とされる。このため、価格帯が比較的手頃な郊外市場に実需層の関心が集まりやすい状況が続くと考えられる。
 
 供給減の背景には、政府による住宅用地供給の抑制や、2025年の市場回復を受けて一部開発業者が発売時期を前倒しした影響があるとされる。2026年の販売戸数は前年より減少する見込みだが、過去10年平均は上回る水準が維持されると予想されている。