2025年11月27日
シンガポール、出社再開に見返りを求める声強まる
シンガポールではオフィス勤務の再開(RTO)が進む中、労働者からは単なる出社義務ではなく、実質的な待遇改善を求める声が強まっている。従業員調査によれば、対象者の約7割が何らかの出社要請を受けている一方で、その条件に不満を抱く層も少なくない。
出社に前向きな意見も一定数あり、約6割が出社方針に理解を示し、過半数が「オフィスの方が協働しやすい」と感じている。一方で、働く場所よりも「時間の柔軟性」を重視する傾向が強く、フレキシブル勤務を望む人は6割を超えるが、実際に利用できているのは4割程度にとどまるという。
福利厚生面でもギャップは大きい。無料ランチなど食事支援を期待する声は4割を超えるが、実際に提供を受けている人は2割に満たない。交通費補助や割引通勤といった支援も、重視されながら十分に行き渡っていない状況である。
この乖離は人材流出の要因にもなり得る。6割超が「柔軟な働き方の有無」が転職の判断材料になると回答しており、企業には出社要請と引き換えに、時間・通勤・食といった現実的な負担への配慮が求められているのである。


