2025年11月26日
Apple・Googleに「gov.sg」なりすまし防止を命令
シンガポール政府は、シンガポール人材開発省(MOM)および警察当局を通じ、AppleとGoogleに対してメッセージングサービス上での政府機関なりすまし行為を防ぐ措置を導入するよう正式に命令した。本措置は2025年11月24日付で発出され、同月30日までの実装が義務化されている。
対象となるのは、iMessageとGoogle Messagesにおけるアカウント名やグループ名の偽装表示である。詐欺業者は、送信者名に「gov.sg」など政府機関名を表示させ、公式メッセージと誤認させる手口を用いていた。政府は、未知の送信者からのプロファイル名の非表示化や、電話番号表示を明確化する機能を求めている。
背景には、2025年上半期に「政府職員になりすました詐欺」が急増したことがある。警察によれば件数は1,762件と前年同期比で約3倍に増加し、損失額は約1億2,650万Sドル(約152億円)に達した。これらの被害の多くは、iMessageやGoogle Messagesの名称偽装を介して発生していた。
政府は2024年7月からSMSの公式送信者IDとして「gov.sg」を導入したが、メッセージングアプリには同制度が適用されず、詐欺の温床になっていた。今回の命令により、両社はメッセージ表示方式を改修し、利用者が公式メッセージと詐欺メッセージを識別しやすくする仕組みを確立する必要がある。
なお、命令に従わない事業者には、オンライン犯罪被害防止法に基づき最大100万Sドル(約1億2,000万円)の罰金、違反が継続する場合には1日あたり10万Sドル(約1,200万円)の追加罰金が科される可能性がある。
政府は一般利用者に対し、「iOSおよびAndroidのメッセージアプリを常に最新の状態に保ち、不審な送信者名やURLに注意すること」と警告している。


