シンガポールの消費者物価(コアインフレ率)は、10月に前年同月比で1.2%に上昇した。9月の0.4%から急上昇し、2025年中で最も高い水準となった。
この上昇は、サービス、食品、物品(リテール・その他)価格の上昇に加え、電気・ガス価格の下落幅が縮小したことが背景にある。具体的には、サービス価格のインフレ率が9月の0.3%から10月に1.8%へ拡大、また、食品インフレ率も1.1%から1.2%へと小幅上昇した。
併せて、全項目インフレ率(ヘッドラインCPI)も10月に前年同月比1.2%へ上昇(9月は0.7%)し、私的交通価格の上昇が主因の一つとして挙げられている。
一方で、政府当局である Monetary Authority of Singapore(MAS)および Ministry of Trade and Industry(MTI)は、年間平均のコアインフレ率をおおよそ0.5%、2026年には0.5~1.5%とする見通しを据え置いた。
今回のインフレ加速について、金融機関のエコノミストらは「底を打った可能性がある」と指摘しており、MASが2026年1月に政策運営を見直す際、インフレ動向を慎重に見極める必要があると述べている。
消費者・企業にとっては、サービス・食品・輸入関連の価格上昇が今後も波及するリスクがある点が注目される。特に、電気・ガス料金や輸入コストの変動、地政学的な影響などが今後のインフレ動向に大きく影響を及ぼす可能性が残されている。
シンガポールのコアインフレ、10月に1.2%に上昇–2025年最高水準である
