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経済

2025年11月19日

Grab、最低運賃を50セント引き上げ

 配車サービス大手Grabシンガポールは11月24日から、3km未満の短距離区間におけるドライバー収入改善を目的に、最低運賃を一律50セント引き上げると発表した。費用はGrabが全額負担し、乗客の支払運賃には影響しないとしている。
 
 今回の調整は、Grabと全国個人ハイヤー車両協会(NPHVA)が11月17日に共同発表したもので、GrabHitch、9人乗り、13人乗り、時間貸しサービスを除く多くの定額オンデマンドサービスに適用される。代表的な「JustGrab」では、最低運賃が Sドル5.30(約630円)からSドル5.80(約690円) に引き上げられる。
 
 短距離運行では、車両リース代、燃料費、電気代といった固定的な運行コストが運賃に占める割合が高く、ドライバー収益を圧迫していた。今回の引き上げはこの課題に対処するものである。
 
 NPHVAのリー事務局長は、「50セントの増額は最低運賃の最大9%相当にあたり、前進となる」と評価した。Grabシンガポールの輸送部門責任者ウィー氏も、ドライバーの福利厚生改善に向けたGrabの姿勢を示すものだとした。
 
 同日、Grabは別途、タクシードライバーの代表組織として全国タクシー協会(NTA)を正式に認めると発表した。これはプラットフォームワーカー法に基づき、NTA、NPHVA、全国デリバリーチャンピオンズ協会(NDCA)の3団体すべてをGrabが正式承認する初の事例である。
 
 Grabは2025年3月にNPHVAとNDCAを正式承認しており、今回のNTA承認により三協会との連携制度が完成した形となる。NTUCのヤオ副書記長は「プラットフォーム労働者の収益、安全、労働環境改善に向けた重要な節目である」と述べた。
 
 今回の一連の取り組みは、配車プラットフォーム業界の持続性と労働者保護を両立させるための大きな一歩といえる。

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