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経済

2025年11月19日

プラウブラニと本島を結ぶ新交通システム、政府が実現性を調査

 シンガポール本島とプラウブラニを結ぶ新たな交通システムの導入に向け、セントーサ開発公社(SDC)が実現可能性調査を開始した。SDCは10月24日に政府調達ポータル「GeBiz」でコンサルタント募集の入札公告を出し、新設されるケッペル・リンク橋上における「ピープルムーバーシステム」の概念設計を検討するとしている。
 
 ピープルムーバーとは、セントーサ島とビボシティを結ぶモノレール「セントーサ・エクスプレス」のような小規模交通システムを指す。SDCは11月17日の声明で、グレーター・セントーサ・マスタープランの一環としてアクセス改善と来訪者体験向上に資する「革新的な交通ソリューション」を検討すると述べた。
 
 同マスタープランは2019年に発表され、今後20〜30年かけてセントーサとプラウブラニを観光拠点として再開発する構想である。プラウブラニでは、PSAが運営するブラニ・ターミナルが2027年までにトアス新港へ完全移転する予定で、島の再開発余地が広がる。
 
 計画では、島東部にウォーターフロントゾーン、中央部に自然・歴史を生かしたリッジラインゾーン、西部には大型アトラクション群「バイブレント・クラスター」と商業・宿泊の拠点「アイランド・ハート」を配置する構想である。2019年のSDC動画では、地上型ピープルムーバーが島内の主要地点を結ぶイメージが示された。
 
 交通研究者であるNUSのレイモンド・オン准教授は、ブラニ島を観光地とするなら新交通は不可欠であると指摘する。現在、本島から島へ向かう導線はブラニ・ターミナル・アベニューの1ルートのみであり、渋滞悪化が来訪者体験を損なう恐れがあるという。
 
 オン氏は、ピープルムーバーは自動運転バスや空港スカイトレイン、トラベレーターのように幅が広い概念であり、観光客数の需要予測を踏まえて最適規模を選ぶべきと述べる。また観光地として「移動自体が魅力となる『ワオ体験』を提供することが重要である」と強調する。
 
 入札は12月5日16時に締め切られる予定である。

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