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SIAの純利益が大幅減 エア・インディア損失が重荷

 シンガポール航空(SIA)は、エア・インディアの損失拡大により純利益が急減する中でも、同社への長期投資方針を堅持する姿勢を示した。11月14日の上期決算説明会で、ゴー・チュンフォン最高経営責任者(CEO)は「エア・インディアの変革に引き続きコミットする」と述べた。
 
 SIAは9月30日までの6ヵ月で過去最高の売上高を記録し、営業利益も前年同期比0.9%増の8億300万Sドルとなった。しかし、純利益は金利収入の減少とエア・インディアの損失負担により67.8%減の2億3,900万Sドルに落ち込んだ。この影響を受け、SIA株価は11月14日の終値で前日比約2%安の6.52Sドルとなった。
 
 SIAは2024年12月、子会社ビスタラの統合完了に伴い、エア・インディアを持分法適用会社に組み入れた。だが、2025年6月にアーメダバードで乗客241人が死亡した墜落事故以降、エア・インディアの損失は拡大している。ゴー氏は「困難は承知しているが、投資は長期的視点である」と強調した。
 
 SIAはエア・インディアとのコードシェアを強化し、インド国内30超の都市への接続を拡大。インドは2030~2031年に世界3位の経済大国になると予測され、同国の航空旅客は2024~2044年に年平均5.6%成長すると見込まれる。SIAはこの成長市場に直接アクセスする戦略的価値を強調した。
 
 一方でエア・インディアを巡る財務懸念は続く。ブルームバーグは10月、同社が14億7,000万USドルの資金支援を要請しており、SIAの持ち分(25.1%)は3億6,900万USドルに相当すると報じた。SIAは追加出資計画を否定しているが、アナリストは「将来の資金調達は排除できない」と指摘する。
 
 モーニングスターは、エア・インディアが10月に全面運航を再開したことで下期は改善余地があると評価する一方、OCBCやメイバンクは「損失の長期化がSIAの株価の重荷となる」と警戒している。
 
 それでもSIAは、自社ブランド力とサービス品質が成長局面への移行を支えると自信を示している。