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燃料検査で停止命令無視、ICA職員を車で引きずる

 シンガポール人のスティーブ・リン・ウェイ・リャン被告(40)が、燃料タンク検査の際に入国管理局(ICA)職員を車で引きずり負傷させたとして起訴され、2025年11月10日に裁判が始まった。事件は2023年12月12日、ウッドランズ・チェックポイントで発生した。
 
 当時、ICA職員のタン・イーロン氏は、リン被告の車の燃料残量が4分の1しかなかったため検査を行い、パスポートの提示を求めた。シンガポールを出国する車両は、燃料タンクを少なくとも4分の3以上満たすことが義務づけられている。しかし、被告は「チャンスをください、裁判には行けません」と述べ、停止命令を無視して車を発進させ、タン氏の右膝に打撲を負わせた。
 
 法廷で上映された映像には、タン氏が赤い車に接近し検査を行う様子が記録されていた。タン氏は「この車は忘れられない。私を引きずった車だ」と証言。発進の瞬間、タン氏は窓に挟まれた状態で車とともに引きずられ、「誰も引きずられるなんて——普通じゃないだろ」と述べた。
 
 被告は停車後に現場を離れ、警察が捜査を開始した。タン氏は2020年にICAに入庁し、当日は燃料検査チームの副リーダーとして勤務していた。
 
 被告が有罪となった場合、「人命を危険にさらす軽率な行為」として最長1年の禁錮または5,000Sドルの罰金、もしくはその両方が科される可能性がある。裁判は現在も継続中である。