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シンガポール人女性、TikTokで外国人労働者を擁護

 シンガポールの39歳の配車ドライバー、カルメン・オルテガ氏が、外国人労働者を非難する映像に対し、自らの思いを語る動画をSNSで公開し、大きな反響を呼んでいる。
 
 問題となった元の映像は10月中旬、住宅団地のボイドデッキで休息を取っていた少なくとも3人の外国人労働者に、男性が「ここはお前たちの祖父の家ではない」「お前たちは役に立たない」と罵声を浴びせる様子を撮影したものだった。
 
 オルテガ氏はこれを見て、「自分の真実を伝えたい」と感じ、10月26日にInstagramリールとTikTokで動画を投稿。Instagramでは1万1,800以上の「いいね」と1,400回の再投稿、TikTokでは20万回以上の再生を記録した。
 
 動画には、早朝や深夜に街を清掃し、屋根やトンネルを整備する外国人労働者の姿、そして狭い宿舎での生活が映し出される。オルテガ氏は映像内で語る。
「あなたは彼らを無用と呼ぶが、彼らの仕事を同じ給料でできるだろうか。彼らの賃金が低いのは通貨の力の差であって、彼らは貧しいのではない。夢のために懸命に働いている。彼らは私たちが眠っている間に、この街を築いているのだ。」
 
 また彼女は、「私たちは彼らより優れているのではなく、たまたまシンガポールに生まれたという幸運を得ただけ」と述べ、「彼らは同じ人間であり、同じ感情を持つ存在として、同情ではなく共感と敬意が必要だ」と訴える。
 
 SNS上では多くのシンガポール人が「彼らはいつも親切で、困っている時に真っ先に助けてくれる」といった声を寄せた一方で、一部には否定的なコメントもあった。しかしオルテガ氏は「汚す人はどの国にもいる。それは職業や国籍ではなく人間性の問題」と反論した。
 
 「この動画は主張ではなく鏡です。普段見えないものを見てもらいたかった」と語るオルテガ氏。彼女の呼びかけは、社会の分断を越えて「思いやりと尊敬をもって生きること」の重要性を静かに問いかけている。