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経済

2025年10月31日

シンガポール発「Twelve Cupcakes」、暫定清算により全店舗閉店

 ホームグラウンの菓子チェーン「Twelve Cupcakes(トゥエルヴ・カップケイクス)」が10月29日付で暫定清算(provisional liquidation)に入り、同日をもって全店舗を閉店したことが公式ウェブサイト上で発表された。
 
 同社は閉鎖の理由について詳しく言及しておらず、ウェブサイト上の案内文では、「長年のご支援に心より感謝申し上げる」とのみ記されている。
 
 このベーカリーチェーンは2011年にエンタメアーティストのJaime Teo氏と元ラジオDJのDaniel Ong氏によって創業され、国内で20店舗規模を展開していた。
 
 2016年12月にはインド・コルカタ拠点の茶商グループ、Dhunseri Groupに約250万Sドルで売却されている。
 
 過去には外国人労働者の賃金未払い問題でも話題となった。2021年1月には7名の外国人従業員に約11万4,000Sドルの未払いがあったとして、同社に11万9,500Sドルの罰金が科された。さらに創業者2名も2013~16年の人材管理義務違反でそれぞれ6万5,000Sドルの罰金を受けている。
 
 現地報道によれば、同社の2025会計年度(~3月末)実績は収益920万Sドル、純損失約120万Sドルと、前年から赤字幅を拡大していた。
 
 また、清算手続きでは会計・企業規制庁(ACRA)に「債権者自発清算(creditors’ voluntary winding-up)」のステータスが登録されており、暫定清算人としてAAG Corporate Advisoryが任命された模様である。
 
 従業員向けには、労働組合代表者との会合を同社が手配する旨のテキスト通知が10月30日に確認されており、組合未加入の従業員にも支援が提供される予定だという。
 
 飲食・ベーカリー業界では、近年の賃料上昇や人件費高騰、消費者トレンド変化に伴う競争激化により、同様の閉店が相次いでおり、本件もその背景を反映したものとみられている。
 
 今後、債務整理や残余資産の処理、従業員の雇用・賃金処理、債権者対応などが焦点となる。

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