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シンガポールの雇用、第3四半期に2倍超の伸び

 シンガポールの雇用市場は2025年第3四半期(7~9月)に力強い回復を見せ、雇用者数の増加は前期の2倍以上に達した。人材省(MOM)が10月30日に発表した速報値によると、同期間の総雇用者数は前期比で2万4,800人増となり、第2四半期の1万400人増から大幅に拡大した。
 
 MOMは「雇用の伸びは予想を上回り、シンガポール人・永住者(PR)および非居住者の双方で拡大が見られた」と説明。今後も雇用の増加は続く見通しだが、業種間でばらつきがあると指摘した。特に医療・社会福祉、金融サービス分野での雇用が堅調だった一方、情報通信や専門サービスなど外需依存型産業では伸び悩んだ。
 
 解雇者数は3,500人で、業種を問わず安定しており、主な理由は企業再編だったという。失業率は9月時点で依然低水準にあり、シンガポール人・PR全体で2.8%、シンガポール人単体では3.0%。これは2015~2019年の非景気後退期と同程度の水準である。
 
 業種別では、卸売業で居住者雇用が大幅に減少した一方、建設業と製造業では非居住者の就業が拡大。非居住者雇用の伸びは主にワークパーミット保持者によるものだった。
 
 採用見通しもやや改善し、採用を予定している企業の割合は第2四半期の43.7%から44.1%に上昇。一方で、賃上げを計画する企業は19.3%にとどまり、コスト圧力の中で賃金上昇ペースは鈍化傾向にある。
 
 MOMは「全体的な雇用成長は維持される見通しだが、居住者雇用の伸びは非居住者を下回る可能性がある」としている。