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社会

2025年10月30日

約200年ぶりに確認 絶滅とされたサイチョウがスンゲイブロウ湿地に出現

 シンガポールで絶滅したと考えられていた希少種「サイチョウ(Rhinoceros Hornbill)」が、スンゲイブロウ湿地保護区で約200年ぶりに確認され、自然愛好家の間で大きな話題となっている。初めて目撃された10月28日以降、バードウォッチャーや野生動物写真家が次々と現地に集まり、SNS上では撮影された写真や動画が拡散している。
 
 サイチョウは、黒い羽と白い腹部、そして赤橙色の独特な角状突起を持つ大型の鳥で、マレーシアの国鳥でもある。元シンガポール軍所属のデービッド・タン氏(60)は、「まさかシンガポールで見られるとは思わなかった」と驚きを語る。彼は同日午前8時15分頃に現地に到着し、約1時間後に木々の間から撮影に成功したという。タン氏は観察とアプリを用いて種を確認し、「マレーシアから飛来した可能性がある」と推測した。
 
 シンガポール野鳥の会のラガブ・ナラヤンスワミ副会長は、「過去にもサイチョウの報告はあるが、多くは飼育下から逃げ出した個体とみられてきた」と指摘する。その上で、「このような目撃は地域の森林が依然として広域でつながっている証拠である」と評価しつつ、今回の個体が野生か逃亡個体かの判定が必要だと述べた。
 
 一方、国際環境保護団体バードライフ・インターナショナルのヨン・ディンリ博士は、「今回確認されたのは幼鳥で、健康状態も良好。自然に飛来した可能性が高い」と分析。サイチョウは広大な熱帯林を生息域とし、果実を求めて長距離を移動する能力を持つという。
 
 シンガポール国立大学リーコンチアン自然史博物館のフランク・ラインダ教授も「おそらくマレー半島から渡ってきた個体だろう」と推測。非営利団体シカダ・ツリー・エコプレイスによれば、野生個体の確認は19世紀末が最後とされていた。今回の発見は、失われたと思われた自然とのつながりを改めて感じさせる出来事となった。

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