シンガポールのローレンス・ウォン首相は10月28日、同国が米国と進めている半導体分野でのセクター別関税協議について、「まだ非常に初期段階にある」と述べた。米国がブランド医薬品に対して設定した100%関税(現在は保留中)に言及し、「米国がどのようにこれらの関税を適用するのか、まだ明確ではない」と語った。米国は半導体分野での具体的な関税措置をまだ発表していない。
ウォン首相は、クアラルンプールで行われたASEAN首脳会議でのドナルド・トランプ米大統領との会談に関し、関税について詳細な議論は行われなかったと説明した。一方で、米国と各ASEAN諸国との間では個別の協議が続いているという。
米国は今回、マレーシア、カンボジア、タイ、ベトナムの4ヵ国と相互関税協定を発表したが、シンガポールは含まれていない。これについてウォン首相は、「シンガポールは既に米国と自由貿易協定(FTA)を結んでおり、基準関税率は10%。米国はこの水準を下回る予定がないため、新たな協定を追求していない」と説明した。
医薬品はシンガポールの対米輸出の約13%を占め、半導体と並ぶ主要輸出品である。医薬品関税は当初10月1日に発効予定だったが、企業との交渉のため延期された。ガン・キムヨン副首相は9月、米国が日本やEUと結んだ協定のように、関税率上限の設定を検討していると述べている。
これらの措置は、製造業を米国内に回帰させ、中国の供給網支配を抑えるというトランプ政権の広範な方針の一環であり、半導体、電気自動車部品、医薬品などの主要産業が対象とされる。
ウォン首相はまた、ASEANとして「米国とも中国とも良好な関係を維持したい」と強調。ASEANは依然として米国を主要な投資・技術供給源、中国を最大の貿易相手国と位置づけ、双方との関係維持を最重要課題としていると述べた。
シンガポール、米国との半導体関税協議は「初期段階」
