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ジュロン島に国内最大のグリーン・データセンターパーク誕生へ

 シンガポールのエネルギー・化学産業の拠点であるジュロン島が、脱炭素化に向けて大きく動き出した。工業開発庁(JTC)と経済開発庁(EDB)は10月27日、島の総面積の約10%にあたる約300ヘクタールを新エネルギー関連用途に、さらに約20ヘクタールを国内最大規模となる低炭素型データセンターパーク用地として確保すると発表した。
 
 新エネルギー区画では、水素やアンモニアなど燃焼時に二酸化炭素を排出しない燃料や、二酸化炭素回収技術の実証が行われる予定である。また、輸入アンモニアを発電および船舶燃料に利用する国内初のプロジェクトや、水素対応型ガス発電所の建設も計画されている。これらの取り組みはシンガポール国際エネルギーウィークに合わせて発表されたもので、政府はジュロン島を世界的な新エネルギー技術の実験拠点と位置付けている。
 
 データセンターパークには最大700メガワットの電力供給が見込まれ、エネルギー効率機器や低炭素燃料を導入した運営が求められる。シンガポールはAI時代の需要増を背景に、今後数年で少なくとも300メガワット分のデータセンター容量を新たに追加する方針である。
 
 現在、ジュロン島には100社以上が拠点を構え、約27,000人が働く。精製・石化分野は国内温室効果ガス排出量の約3分の1を占めるが、政府は2030年までに同島を持続可能なエネルギー・化学ハブへと転換する目標を掲げている。