シンガポール国民は、オンライン上で最も深刻な被害として「非同意の性的コンテンツ」「自傷行為など危険行為の助長」「標的型ハラスメント」を挙げた――シンガポール政策研究所(IPS)が10月22日に発表した最新調査で明らかになった。
本調査は、2024年6月から2025年5月にかけて実施され、法律やSNSプラットフォーム規定の分析、被害者や支援者への聞き取り、600人の市民・永住者を対象とした意識調査を含む。資金はデジタル開発・情報省が提供した。
回答者の多くは、児童性的搾取や暴力・テロ関連、反社会的行為を支援するコンテンツを最も重大な害として認識。一方で、ドクシング(個人情報晒し)やなりすまし、ネットいじめなどについては、年齢層によって危険性の受け止め方に差があった。
特に35歳未満では、サイバーブリング(ネットいじめ)や「キャットフィッシング」(偽の人物設定による欺き行為)を“日常的なこと”として受け入れる傾向が見られ、研究者らは「危険行為の常態化」が進んでいると警鐘を鳴らした。
IPSのチュー・ハン・エイ上級研究員は、「非同意の性的画像や動画の拡散は全世代で最も深刻と認識されている。親密な関係における暴力の一形態としても軽視できない」と指摘。また、自傷・摂食障害などを助長する投稿が若者に悪影響を与えているとの懸念も示した。
調査では79.3%が「加害者を法的に責任追及する強力な立法が必要」、77.4%が「有害コンテンツの削除を迅速に行える法律を望む」と回答。SNS各社に対しても77%が「有害投稿の迅速削除」を求めた。
政府は10月15日、非同意の性的画像拡散や児童虐待、ドクシングなどの被害者が迅速な救済を受けられる「オンライン安全委員会」設立を可能とする法案を国会に提出した。
研究チームは「被害者は各SNSの通報手続きが複雑で混乱している。政府とプラットフォームは、簡潔でわかりやすい通報・削除手順の指針を定期的に公表すべき」と提言している。
シンガポールで深刻なオンライン被害、非同意の性的コンテンツや自傷行為助長が最上位に
